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族議員


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族議員(ぞくぎいん)とは、日本の特定の省庁についての政策知識に明るかったり、人脈を築いたりする中で政策の決定権を握り、業界団体利益団体利益保護に影響力を持つ国会議員族議員Yahoo!百科事典(2009年9月27日閲覧)およびその集団のことである。

概要

出自


族議員はその分野を所管する省庁の大臣政務次官などの経験者、所管官庁の官僚出身議員が多く、各省庁に対応する形で設置された政務調査会の部会に属する、関係省庁の官職を経験することを通じて政策立案の決定権を握っていった。なお、族議員は長期政権下の自民党議員に限定されたイメージを持たれているが、与党や野党を経験した公明党や長期間野党であった旧日本社会党民主党議員のなかにも族議員が存在していると認識されている。

分類と名称


族議員は自民党政調会の政策部会の名称や調査会の名称や国会委員会の名称から冠されている。主な族議員として、建設族・道路族(国土交通省)、農林族・農水族(農林水産省)、郵政族(総務省)、文教族(文部科学省)、厚生族・社労族(厚生労働省)、国防族/防衛族(防衛省)、商工族(経済産業省)、税調族(税制調査会)などがあげられる。なお、一人で複数の族議員に分類されることもあり、たとえば税調族のドンであった山中貞則は、選挙区が畜産の盛んな大隅半島である関係から畜産族(農林水産省)にも分類されており、沖縄返還前後に担当相を務めた経緯から沖縄振興策にも相当の発言力を有していた。

メリットとデメリット


族議員の一部は集票または政治資金の獲得を目的としたロビイストであるとされることもあり田勢康弘『豊かな国の貧しい政治』、特定の省庁や業界団体の利権を巡って汚職事件が起こるなど問題視された。また、政策の決定権を握る族議員特定省庁業界団体の三者(いわゆる鉄のトライアングル)が癒着した結果、予算が既得権益化、硬直化し、本来の責任者である内閣総理大臣各省大臣の関与が弱まる形となって総合調整機能が低下したり、与党の閉鎖的な政策部会で事実上の政策決定が行われた結果、責任の所在が曖昧になり「党高政低」と揶揄され「政府・与党二元化」と批判された。

ただ、族議員は専門とする分野についての知識と調整能力に長けているので一貫性を持って安定した政策立案・遂行を進めていくというメリットも存在する。また、対立型の政治では無視されがちとなる政治的弱者、例えば障害者の自己負担金の減額や雇用義務強化を訴えることに対する政策的な配慮の発揮も可能となっている。

特定の難しさ


なお族議員は公認されるものでは無く、人が貼るレッテルであるため特定することが難しい面がある。たとえば障害者の社会進出を図るために障害者団体に対して利益誘導を図る場合、結果として障害者でない多くの国民に不利益をもたらすことになるが、それだけで族議員とは呼ばれるわけではない。事実上の政策決定の閉鎖性や多額の政治資金獲得の要件が加わると、族議員と呼ばれやすくなる。

沿革


日本で族議員が台頭したのは1970年代から"自民党半世紀③官僚優位の政策決定システム" 『日本経済新聞』 2009年9月27日と言われる。これは自民党の長期支配が定着し、政府提出法案の国会提出前に党政務調査会の各部会で法案の事前審査を行なうことが政府・自民党におけるルールとして確立したことと、高度経済成長の終焉と社会保障制度の推進の必要が生じたことで、以前のように潤沢な予算を配分することが困難になったことにより党内での調整が必要とされたためである。かつて田中派は建設や郵政などの族議員を多く抱えた。また、田中角栄は派閥内の議員を族議員として養成し、さらに族議員をあらゆる政策分野に配置して陳情を処理するようになると、自らの派閥を総合病院と称するようになった。大きな利権に結びつく部会には新人議員の入会者が殺到し、人気のある部会や調査会には主流派閥が群がり、非主流派閥は不人気部会に追いやられた。

官僚や業界が反対する政策について、政府が族議員を味方につけることができた場合には改革推進の原動力となってきた。例えば、1980年代国鉄改革においては、中曽根康弘首相と連携した運輸族の働きが国鉄民営化の推進力となったことが確認されている。

一方で、政府や与党幹部が推し進める政策に反対する国会議員を恣意的に族議員として扱う事例も見られる。例えば郵政国会当時、郵政民営化法案に反対した国会議員は族議員と呼ばれ非難された。

2009年第45回衆議院議員総選挙により政権に就いた民主党は政府与党の一元化を目指して与党にいる間、政策調査会の凍結および政務三役会議各省政策会議の設置を決め、これらのシステム変更により族議員の排除に動き出した"日本が変わる:政府・与党一元化へ2会議 「族議員」排除狙う" 『毎日新聞』 2009年9月22日。ちなみに、2002年に自民党も党国家戦略本部が民主党と似たようなシステム変更案"できるか政策決定一元化=力量問われる鳩山氏" 『時事ドットコム』 2009年09月12日 閲覧2009年9月27日「政治システム(最終提言). (New Decision-Making System).」(PDF)自由民主党. 国家戦略本部 国家ビジョン策定委員会. 平成14年3月13日 を検討したが、実現はしていない。

脚注


参考文献


  • 湯浅博『国会「議員族」―自民党「政調」と霞ヶ関』教育社.1986年.ISBN 4315503800
  • 猪口孝岩井奉信『「族議員」の研究―自民党政権を牛耳る主役たち』日本経済新聞社.1987年.ISBN 4532094402
  • 村川一郎『自民党の政策決定システム』教育社.1989年.ISBN 4315509019
  • 村川一郎『日本国「政府」の研究―現代政治における政党の地位』ぎょうせい.1994年.ISBN 4324040095
  • 大嶽秀夫『自由主義的改革の時代―1980年代前期の日本政治』中央公論社.1994年.ISBN 4120023427
  • 日本経済新聞政治部『ドキュメント族議員』社会思想社.1994年. ISBN 4390115286
  • 村川一郎『政策決定過程―日本国の形式的政府と実質的政府』信山社出版.2000年.ISBN 4797252200
  • 建林正彦『議員行動の政治経済学―自民党支配の制度分析』有斐閣. 2004年. ISBN 4641076898
  • 金子仁洋『地方再興―官と族議員は地方の敵にまわるか』マネジメント社.2007年.ISBN 4837804438

関連項目




日本の政党政治



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